国民の99%が知らない自衛官の再就職事情

仕事術

こんにちは!

自衛官の再就職事情っていったいどうなっているか、

あなたは考えたことはありますか?

この記事では防衛省全体で自衛官の再就職事情がどうなっているかをお伝えします。

こんなあなたにオススメです!

  • 現役自衛官で任期満了や定年退官を控え、再就職をしようと考えている現役自衛官
  • 現役自衛官で転職を考えている幹部自衛官や准曹士隊員
  • 現役自衛官ではないけど、自衛隊を通じてキャリアを形成していきたいと考えている方

1 防衛白書から読み解く退職自衛官の数

さっそくですが、『防衛白書』を確認していきましょう。

ひじょうに難解な資料ではありますが、

このなかにちゃんと再就職事情についても記載があります。

令和3年度『防衛白書』p.383より抜粋

このグラフは令和2年度の再就職支援の実績です。

パーセンテージでみると定年退官者は、

97.5%の就職決定率!!

若年隊員は、

99.7%の就職決定率!!

これってすごくないですか?

再就職支援を依頼すると

こんなに高確率で再就職することができるんですね。


2 「再就職支援」の知られざる落とし穴…

ですが、安心するのはまだ早いです。

下の数値をよく見て下さい。

よく見ると母数が『再就職支援希望者数』と記載されています。

なぜ、「退職者」数ではないのでしょうか…?


3 「再就職支援」とは?

退職者数の話に移る前に、話をわかりやすくするため、

「再就職支援制度」についてお話します。

一般に自衛官の定年退職は50歳代なかばと

「非常に早い」

のが特徴です。

55歳で定年退職を迎えても、

年金をもらうまで10数年かかります。

仮に定年退職金を3,000万円もらったとしても、

  • 家のローン
  • 子供の教育費
  • 生活費

などで資金がどんどん減っていきます。

たとえ定年退職で家のローンを支払ったとしても、

子供を2人大学に行かせようと考えれば、

1,000万円近くの資金が必要になります。

それでは、安心して仕事に従事できないですよね。

そこで生まれたのが、「再就職支援制度」です。

職業を紹介できない防衛省の代わりに、

「一般財団法人自衛隊援護協会」が

『無料』

で、職業紹介をしています。

防衛白書に記載されている

「再就職支援制度希望者数」

というのは、この制度を活用した隊員の数と思われます。

実は、この制度自体に問題はありません。

問題は退職者の数です…。


4 陸海空の年間退職者数は推定5,301名

実は、航空自衛隊のHPにはいくつかの

you tube動画が掲載されています。

航空自衛隊HP you tube動画より抜粋

この動画によると、

航空自衛隊の年間定年退職者は1,000人です。

航空自衛隊の総員は、4万3830人と記載があるため、

退職者の割合は2.28%です。

他方、

防衛白書によると、

陸海空自衛隊の総員は23万2509人です。

この総員にさきほどの2.28%を掛けると、

自衛隊全体の定年退官者数は

23万2509人×2.28%=5,301名

です。

この5,301名が自衛隊全体の定年退職者の推定数です。

この数字から、

冒頭述べた再就職支援希望者1,496名を引くと…

3,805名となります。

つまり、3,805名が「再就職支援制度」を使用せずに、

定年退官を迎えるのです。

この3,805名は一体どうやって再就職先を探すのでしょうか。


5 3,805名が目指すいばらの道「自己開拓」

「一般財団法人自衛隊援護協会」 がおこなう再就職支援を

希望しない人たちは、「自己開拓」に区分されます。

つまり、「支援を受けず、自分で再就職先を見つける」

ということです。

なぜ、3,805名は「再就職支援」を受けないのでしょうか…?

私自身元自衛官であったため、肌身で感じていることですが…

正直「魅力的な業種・業態が少ない」ことに尽きます。

(警備会社や保険営業、マンション管理等…)

(本気の話なので少し小さめに…)

特に、保険営業は正直最悪の選択だと感じていました。

今まで基地で偉そうにふんぞり返っていた人が、

定年退官の翌日に保険の営業マンとして、

同じ基地に「あいさつ回り」に来るのです。

昨日まで偉そうにしていた人から買う人なんているのでしょうか…。

それであれば、「自分で探した方がマシ」という選択肢になります。

しかし、自分で見つけるとなると、

就活サイトなどで見つけてくることになります。

しかし、55歳の何のとりえもない自衛官を

雇ってくれる企業などあるでしょうか?

「人材不足」と言われて久しいですが、

「人材」ならだれでもいいわけではありません。

増してや年齢を重ねていれば、雇用期間も短くなるため、

企業は慎重になります。

ただでさえ、

企業は「リクナビ」などの就活サイトに

広告料を月何十万円も払っているのです。

何十万円もかけて採用した人が企業に合わなかったら、

社員からの信頼も失います。

だからこそ、自己開拓は「いばらの道」なのです。


6 自衛官は20~10年先を見据えて「実績」を積もう。

しかし、魅力的な企業に出会える可能性が高いのも、

「自己開拓」の魅力の1つです。

魅力的な企業に出会い、

そして採用してもらうためには、

「実績」が必要不可欠です。

実績と言っても、何か難しいことをやれと

言っているわけではありません。

何か1つでも良いから、

自分で問題点を見つけて、

それを解決してみましょう。

その問題解決が、あなたの「実績」になるはずです。


以上、防衛白書から自衛官の退職事情を考察してきました。

もしあなたが再就職支援制度を活用するのであれば、

何ら問題ないでしょう。

でももしあなたが少しでも、

「魅力的な企業に再就職したい」

「保険の営業で基地に行くのはイヤ!」

と思っているなら、実績をコツコツ積んでいきましょう。

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