「この人なにしてる人……?」採用担当が自衛官の履歴書を見て思うこと

自衛官の転職・再就職

自衛官に限らず、転職活動をする際に誰しもが提出しなければならないのが、「履歴書」及び「職務経歴書」です。

今日はそのうちの「履歴書」について、外資大手で採用にもたずさわる筆者が、「自衛官が応募してきたときのこと」を素直にお伝えします。

転職を考えている現役自衛官のあなたや再就職を控えた定年前の自衛官のあなたにとって役立てば幸いです。

1.自衛官の履歴書とは……

転職や再就職をする際に避けて通れないのが、履歴書と職務経歴書の提出です。

この2つは企業の採用担当が一番最初に目にする書類なので、

「超!!!!!!重要」

だと認識して下さい。

特に採用担当が一番最初に目にする履歴書はハッキリと言えば「第一印象」です。

第一印象が悪いとただでさえ不利な転職活動が、さらに不利になりかねません。

ですが、実は知らず知らずのうちに自衛官は、「第一印象」を悪くしてしまっているかもしれません……

2.元幹部自衛官のくせに応募してきた自衛官が何をしている人か分からない……

私は防衛大学校卒業後、12年間を航空自衛隊で過ごしてきました。

その中で海上自衛隊と陸上自衛隊の方との交流もあります。

幹部自衛官の登竜門である指揮幕僚課程を履修し、

政府高官の副官をしていたこともありますし、

退職前は隊長職でした。

したがって、自衛隊に関する知識は人並み以上にあると自負しています。

今現在は外資系企業でマネージャーとして勤務するかたわら、

採用活動にもたずさわっています。

とあるポジションについての採用活動で、たまたま1人の自衛官が応募してきました。

その時上司にこのように言われました。

上司「元自衛官として、応募してきた方の履歴書とか見てどう思うか教えてくれる?」

私「はい、分かりました!」

そして、応募してきた方の履歴書を見ておどろきました……。

何回読んでも、何が書いてあるか分からないのです……。

冗談だと思いますよね?

「さっき『自衛隊に関する知識は人並み以上』って言ってたじゃん!!」と思いますよね。

おっしゃるとおりです。

でも、ほんとうにわからなかったのです……。

前述したとおり、12年間自衛隊にいて、登竜門を(一応)くぐり、隊長までやったのにも関わらずです。

とは言え、上司に任されたので、返事をしなければなりません。

上司には「正直この履歴書と職務経歴書ではどんな方かわかりません。」と伝えました。

結果、「話してみて、ポテンシャルを見てみようか。」という話になりました。

とりあえず書類選考は通すことにして、面接をしました………が、その方を採用するにはいたりませんでした……。

この面接がうまくいかなかった要因は、以下の2つだと感じています。

・応募者がどういう人なのか分からなかった

・応募者の能力・資質を明確にする質問を構築するための事前材料が少なかった

これら2つの要因は、いずれも「履歴書・職務経歴書の書き方」が根本的な原因になっています。

では、「元幹部自衛官にさえ内容が通じない履歴書の書き方」はいったいどのようなものでしょうか。

3.自衛隊の部隊名は民間では通じない。

原因は、「部隊名」「役職名」でした。

その方の履歴書及び職務経歴書にはあらゆる箇所に部隊名や役職名が記載されていました。

ご本人は丁寧に記載してくださっていたのだと思います。

ですが、読み手からすると以下のように感じます。

「通信班…通信手……って何する人??うちの会社に役に立つの……?」

自衛隊にいるとやたらと「部隊名」と「役職名」を記載する場面があります。

業績評価の記入時や部隊でのアンケート実施時、情報保証関連書類への記名等…。

これだけ記載していると、履歴書にも部隊名と役職名を記載しないとなんだか落ち着かないですよね。

なので、同じような感覚で履歴書と職務経歴書に「部隊名」と「役職名」を書いてしまうのです。

(何を隠そう、元幹部自衛官である筆者も同じあやまちをしていました……)

本人は丁寧に書いているつもりでも、読み手には伝わらず、コミュニケーションのスタート地点がゴールからより離れた位置になってしまいます。

しかも、面接の時間はおおくても1時間。

面接で聞きたいことを聞こうと思っていても、時間は限られています。

その限られた時間のなかで、おたがいの理解を深めようとしても限界があるのは明らかですよね。

下手をすれば、あなたが所属している部隊の説明と質問だけで終了してしまう可能性もあります。

なので、「部隊名」と「役職名」を徹底しすぎると逆効果であることを覚えておいて下さい……。

実は、こうしたケースは毎度発生しているようで、採用を担当しているリクルーターの方から、

「自衛隊の方の履歴書ってどういう風に読めば良いんでしょうか……?毎回頭を悩ませています。」

というコメントを聞いたこともあります。

「もっと時間があれば説明できると思ったんだよね……」

4.転職を考える自衛官が履歴書で注意すべきこと

以上、元幹部自衛官が転職面接で自衛官を面接した話についてお伝えしました。

この話のなかで転職したい自衛官に気をつけてほしい点は1点だけ。

「部隊名」と「役職名」は書きすぎない、ということのみです。

転職を考えている自衛官、再就職を控えた定年前の自衛官の方は気をつけて下さいね。

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