防衛省で実施されている「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」で提示された退職後の自衛官の処遇がひどすぎると思ったのでシェアしますね。
そもそも「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」って?
自衛官の人材獲得を今後どのように実施するかを検討する委員会のことで、ここで決定された事項が実際の施策となっていきます。
したがって、ここに記載されていることは近い将来「実現」されるものとなります。
では実際に何が書いてあるのか。以下、抜粋です。
(1) 関係業界団体等との連携強化
関係業界団体等との間での人材確保に係る連携を強化し、再就職支援を充実
警備:退職予定自衛官の円滑な再就職支援と警備業の人材確保などについて連携
陸運:退職予定自衛官の円滑な再就職支援とバス、ハイヤー・タクシー、トラック、自動車整備・検査業の人材確保などに ついて連携
海運:退職予定自衛官の円滑な再就職支援と海技人材の確保について連携
航空:退職予定自衛官の円滑な再就職支援と航空機整備士等の人材確保について連携
つまり、防衛省は退官予定の自衛官に、こう言っているのです。
「退官後の自衛官は警備員・運送業をやってね。」
この政策のあさはかさにムカついています。
ムカついている点は2点。
- そもそも警備員と配達員をナメている。
- 個々の自衛官の強みをまったく配慮していない。
そもそも警備員と配達員をナメている。
そもそも警備員というのは一般的に思われているより大変な職業です。
警備員は関係法令やマニュアル等覚えることが大変多く、お客様ともトラブルになりやすいため大きなストレスが掛かります。
キチンと自分の感情を殺しつつ、マニュアル通りに実施しなければ、会社から処分や注意を食らいます。
そして派遣先によっては夜勤も含むため、健康上のリスクも高いです。
配達員について言えば、まず体力勝負というところです。
そして、大型であれば技術力が問われます。
道幅の狭い日本の倉庫で車両の長さギリギリしかないような倉庫前に正確に駐車する必要があります。
広大な敷地を持つ演習場や事故が起きないよう設計された基地や駐屯地とはワケが違います。
そんな厳しい中で安易に警備業や運送業を勧めるなんて業務の現場や現状を知らなさすぎます。
民間をナメすぎていて、愚の骨頂としか言いえません。
個々の自衛官の強みをまったく配慮していない。
さらに言えば、個々の自衛官の強みを活かそう、という気がまったくありません。
企業が人材を獲得しようとするときに考えるのは、その人が企業が求めている「特定の分野のプロフェッショナル」であるか否かです。
たとえば営業と一言に言っても、コンサルティングなどの無形の商品を売る営業もいますし、不動産などの有形の商品を売る営業もいます。
ですが、どのような営業の経験がある人材がほしいのかは企業次第です。
私たちがなんとなくイメージする「営業ができる人」というざっくりとした形で人材を要望しているわけではないのです。
自衛官についても同様のことが言えます。
企業が欲しいのは『自身の企業に必要な特定の能力やスキル』であって、「自衛官そのもの」ではありません。
ですが、自衛官一人一人がどのような経験をしてきて、どのような能力を有しているかは人それぞれです。
そのため、自分自身がどのような経験をしてきたのかを改めて把握する必要があります。
ここを間違えてしまうと、再就職活動はうまくいきません。
まとめ
防衛省の施策に乗っかっていくと将来待ち受けているのは、警備員・運送業です。
どちらも体力勝負・メンタルタフネスが求められる仕事で、60代を目の前に新しくチャレンジする業種とはいえません。
世の中の変化のスピードは、どんどん加速しています。
防衛省が上記のような文書を出している間にも、民間の転職市場はどんどん変化しています。
防衛省が準備してくれている再就職準備施策を待つより、自分自身で準備をした方が賢明です。
そのやり方は以前からお伝えしてきてますが、コチラからご確認下さい☺️
文字だらけでおもしろくはありませんが、一読しておいた方が良い防衛省の資料はコチラ。
https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/human_resource/pdf/siryo03_01.pdf