
こんな悩みはありませんか?
- 自衛官の転職で「おすすめの職種」を調べてみたけれど、結局どれが自分に合うのか分からない
- 「やりがいを感じた経験は?」「ワクワクした仕事は?」と聞かれても、正直ピンとこない
- 職務経歴書の最後に書く「自分らしさ」の部分が、どうしてもきれいごとになってしまう
- 転職したいとは思うけれど、次はどんな職場なら長く続けられるのか自信がない
もし一つでも当てはまるなら、この記事はきっとお役に立てると思います。
はじめまして。私は航空自衛隊に17年勤務したあと民間企業へ転職し、現在は外資系企業で管理職をしています。これまでに150人以上の自衛官の方から転職の相談を受けてきました。
今回は、相談の現場で実際にあったやりとりをもとに、「自分に向いている職種・職場の見つけ方」についてお話しします。
結論:向いている仕事は「ワクワク」より「イライラ・もどかしさ」から見つかる
先に結論をお伝えします。自衛官の方が自分に合う職種を探すときは、「ワクワクした場面」ではなく「思わずイライラした場面」「もどかしくて、つい工夫してしまった場面」を書き出してみてください。
やりがいやワクワクは、人によっては実感しにくい感情です。特に自衛隊では「任務だからやる」のが当たり前なので、「楽しかったか」と聞かれても答えに困る方が多いと感じます。一方で「これは非効率だ」「なんでこうなっているんだ」と引っかかった場面は、意外とはっきり覚えているものです。
その「引っかかり」にこそ、あなたが本当に大事にしている価値観と、次の職場で活きる強みが隠れています。ここからは、その理由と具体的な書き出し方を順番に説明していきます。
なぜ「自衛官におすすめの職種」だけでは決められないのか
ネットで調べると、「自衛官におすすめの職種」として、警備・物流・施工管理・営業・人事などがよく並んでいます。どれも自衛官の経験が活きやすいのは確かですが、同じ職種でも、職場によって仕事の進め方はまったく違います。
例えば同じ「プロジェクト管理」の仕事でも、決まった手順を正確に守ることが評価される会社もあれば、昨日決まったことが今日には変わり、走りながら考えることが求められる会社もあります。私自身、民間に来て一番驚いたのは意思決定の速さでした。今日決めたことを、今日から全部適用する。自衛隊の感覚のままだと、正直かなり戸惑います。
つまり大切なのは「どの職種か」よりも、「どんな進め方の職場なら、自分は力を発揮できるか」を知っておくことです。そして、それを知る一番の手がかりが、あなたの「イライラ」や「もどかしさ」なのです。
相談の中でこんなケースがありました
先日、現役の自衛官の方と職務経歴書を一緒に見直していたときのことです。経歴書の最後に「自分らしさ」を書く欄があり、その方は「ワクワクして、体が勝手に動いた」と書いていました。
ところが、詳しくお話を聞いてみると、ご本人は「正直、ワクワクどころではなかった」とおっしゃるんです。日々の仕事に追われ「そんなことに構っていられない」と思いながらも、どうしても放っておけずに工夫を重ねてきた。でもその工夫は、周りからは特に評価されなかった――そんな経験でした。
そこで私はこうお伝えしました。「ワクワクしましたか、というのはあくまで分かりやすい聞き方の一例です。あなたの場合は、ワクワクよりも『工夫せずにはいられない』『もどかしい』という気持ちの方が近いのではないでしょうか」と。
実は私自身もそうでした。非効率な状況を見るとイライラしてしまい、それを解消したくて改善を重ねてきたタイプです。人によって、行動の原動力になる感情は「ワクワク」ではなく、「怒り」「もどかしさ」「イライラ」として現れることもあります。それは決して悪いことではなく、立派なモチベーションです。
その方には、「評価された・されなかった」という結果は書かなくていいので、「自分がこう感じたから、こうした」という感情と行動のつながりを、具体的な場面で書き出してもらうことにしました。ここがはっきりすると、次の職場選びの軸が一気に見えてくるからです。
「イライラ・もどかしさ」から向いている仕事を見つける3ステップ
では、実際にどう書き出せばいいのか。相談の中でもお伝えしている手順を3つのステップにまとめました。
ステップ1:思わず工夫してしまった場面を書き出す
まずは、これまでの勤務の中で「頼まれてもいないのに、つい手を出してしまった場面」を思い出してみてください。成果が出たかどうかは関係ありません。
例えば、毎回同じ確認作業を手書きで繰り返していることに引っかかって、自分で様式を作り直した。あるいは、申し送りがうまく伝わらずに同じミスが続くのが我慢できず、引き継ぎの手順を整理した。こうした「小さな工夫」で構いません。
民間では、こうした自発的な改善の経験そのものが「業務改善」「プロセス改善」の実績として評価されます。自衛隊の中では当たり前すぎて見過ごしがちですが、まずは数を出すことを優先しましょう。
ステップ2:そのとき「何を感じたか」を一言で書く
次に、それぞれの場面で自分が感じた気持ちを一言で添えます。「イライラした」「もどかしかった」「放っておけなかった」「納得できなかった」など、きれいな言葉でなくて大丈夫です。
ここで多くの方がつまずくのが、「上司に褒められた」「部隊で表彰された」と、周りの評価で書いてしまうことです。自衛隊では評価の軸が組織の中にあるので、自然とそうなってしまうんですね。でもここで知りたいのは、評価ではなく「あなた自身がどう感じたか」です。
例えば「訓練の準備が毎回ギリギリになるのがもどかしかったので、逆算した段取り表を作った」のように、「感じたこと → だから、こうした」の形で書けると理想的です。
ステップ3:感情の種類から「合う職場の進め方」を考える
書き出した感情を並べてみると、自分の傾向が見えてきます。そこから、どんな進め方の職場が合いそうかを考えていきます。
例えば、「遅い」「非効率」にイライラするタイプの方は、意思決定が速く、改善提案がすぐ形になるスピード感のある職場の方が力を発揮しやすいかもしれません。
反対に、「手順が守られない」「確認が抜ける」ことにもどかしさを感じるタイプの方は、品質管理や安全管理、手順通りに確実に進めることが重視される職場の方が合いやすいでしょう。どちらが良い・悪いではなく、あなたの感情が「どの環境で一番活きるか」を教えてくれているのです。
書き出しは「1週間」で区切るのがコツ
この作業をやってみると分かるのですが、書き出しはやればやるほど出てきます。真面目な自衛官の方ほど、完璧に洗い出そうとして何週間も止まってしまいがちです。
そこで私は、まずは1週間を目安に区切って取り組むことをおすすめしています。自衛隊で身につけた「期限から逆算して、いつまでに何を仕上げるか、終わらなければどうするかを決める」やり方を、そのまま自分の転職準備に使えばいいのです。
また、文章で書くのが苦手な方は、誰かに話しながら整理する方法もあります。話しているうちに「あ、あのときは本当に腹が立っていたな」と思い出すことも多いです。1週間たっても出てこなければ、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。
職務経歴書・面接ではこう伝える
見つけた「イライラ・もどかしさ」は、職務経歴書や面接でもそのまま使えます。ただし、伝え方には少しコツがあります。
まず、「イライラした」という言葉をそのまま使う必要はありません。「非効率な状態を放置できず、自ら改善してきました」「手順の抜けが気になり、確認の仕組みを整えました」のように、感情を行動の動機として表現すれば、前向きな強みとして伝わります。
そして、評価されたかどうかよりも、「なぜそうしたのか」という動機が一貫していることが大事です。動機がはっきりしている人は、面接官から見ても「うちの会社で同じ場面に出会ったら、きっと同じように動いてくれる」とイメージしやすくなります。
なお、自衛官の方は表現が硬くなりやすく、1から10まで全部説明しようとする傾向があります。話す練習をするときは、自分の説明を録音して聞き直してみてください。どこが長いのか、どこが伝わりにくいのかがよく分かります。
まとめ
- 自衛官に「おすすめの職種」はあっても、同じ職種で職場の進め方は大きく違う
- 向いている仕事は「ワクワク」より「イライラ・もどかしさ」から見つかることが多い
- 書き出すときは評価ではなく「自分がこう感じたから、こうした」を書く
- 感情の種類から、スピード重視の職場か、手順重視の職場かを考える
- 書き出しは1週間で区切る。出てこなければ人に話しながら整理する
「ワクワクしたことなんてない」と感じている方こそ、ぜひ一度、自分が思わず工夫してしまった場面を思い出してみてください。そこに、あなたが次の職場で一番輝ける理由が眠っているはずです。
一人で抱え込まず、気軽に相談してください
「自分には、企業に伝えられるような強みなんてない」「向いている仕事なんて、考えても分からない」――そう感じている方もいるかもしれません。
実はこれは、相談の現場で本当によく聞く声です。そして私自身も、民間に出てから気づいたことがたくさんあります。例えば、自衛隊で身につけた「イベントから逆算して計画を立てる力」は、民間では誰も教えてくれないほど貴重なものでした。自分の強みや向き不向きは、自分一人ではなかなか見えないものなんです。
だからこそ、一人で抱え込まなくて大丈夫です。まだ転職すると決めていなくても構いません。「ちょっと話を聞いてみたい」「自分の場合はどうなんだろう」くらいの気持ちで、気軽に声をかけてください。
公式LINEでは、今回のような書き出しに使える「自己強み発見シート」や、「自衛官専用の履歴書・職務経歴書テンプレート」をお届けしています。ご自身のペースで、向いている仕事を一緒に見つけていきましょう。


