はじめに
こんにちは。17年自衛隊で勤務した後、民間企業へ転職した八木です。
「自衛隊を辞めたいけど、なかなか踏み切れない…」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
私もかつて、同じように悩み続けていた時期がありました。
自衛官という職業は、他の仕事に比べて特異な環境です。
だからこそ、「このままで良いのか」という不安はあって当然です。
この記事では、そんな迷いに終止符を打つ“判断基準”を具体的にご紹介します。
こんな人にオススメ
- 30代前後で「今後も自衛官を続けるべきか」迷っている方
- 周囲に相談できず、一人でモヤモヤを抱えている方
- 明確な退官理由がないけれど、気持ちが前に進まない方
- 今後のキャリアや家庭とのバランスに不安を感じている方
- 「今が辞め時なのか」自信を持って判断できずにいる方
この記事でこんなことがわかります!
- 自衛隊を辞めるべきか残るべきか、5つの視点で冷静に判断できるようになります
- 気づかないうちに「限界」に近づいている自分の状態に気づけます
- 誰にも相談できなかったモヤモヤをクリアにすることができます
100名以上の自衛官の悩みを聞き続けてわかった「退職すべき基準」
私は元自衛官として現役自衛官の転職や再就職のサポートをしています。
今まで100名以上の方とお話しをし、「辞めるべき人」「辞めるべきでない人」という基準がだんだんとわかってきました。
今日は「辞めるべき人」を判断する5つの基準について紹介していきますね!
それではさっそく見ていきましょう!
判断基準①心身に支障をきたしている
身体が悲鳴を上げているのに「気合で何とかなる」根性で乗り切る、と思っていませんか?
メンタルの不調、睡眠障害、食べ過ぎあるいは食べれないといった摂食障害等
それ、限界のサインです。
健康を損なってからでは遅いんです。
転職しようと思っても、体調を崩していては面接にも行けません。
なんだかんだ、仕事と言うのは体力勝負です。体力、勝負だからこそ、自分の健康は最優先にしてください。自衛隊は労働基準法の外にある組織です。だからこそ、自分の体は自分で守るしかない。
特に、自衛隊でメンタル面で不調をきたした場合、なぜかみんな辞めずにそのまま続けて、一定期間経って復職して、そしてまた不調になってってことを繰り返すんですよ。
みんなその時口にするのが、『自衛隊以外に行けるところがない』と言うこと。
断言しますが絶対にそんなことないですからね。
もし今、以下のような症状が続いているなら、それは限界のサインかもしれません。
- 食欲がない(もしくは食べすぎてしまう)
- 夜、寝つきが悪い or 夜中に何度も目が覚める
- 何もしていないのに涙が出る
- 休日も心が休まらない
- 突然イライラしたり、不安が止まらない
これらは「気合で乗り越える」ものではなく、確実にメンタルや身体のバランスが崩れているサインです。まずは、あなた自身の体調と向き合ってみてください。
「ちょっとおかしいかも」と思ったら、それは辞めるべきタイミングの一つかもしれません。

判断基準②なりたい姿があるか
あなたには「この人のようになりたい」と思える先輩、いますか?
もし思い浮かばなければ、それは転機のサインかもしれません。
自衛隊の中でのキャリアは、基本的に階級によって上がっていきます。
つまり、今の上司や先輩は「数年後のあなたの姿」なんです。
私が自衛官だったころ、直属の先輩が10歳上で同じ職種でした。
その人の働き方や考え方を見て、「…10年後の自分がこれなら、ワクワクしないな」と思ってしまったんです。
逆に言えば、「この上司みたいに働きたい」と思える人がいるなら、それはすごく幸せなこと。
その道を突き進んでいいと思います。
でも、今の上司や先輩を見て「違和感」や「憧れが持てない」と感じるのであれば、
それは今の職場でのキャリア形成が、自分の理想とズレているということなんです。
もちろん、上司にすべてを求めるのは難しいです。
でも、長い目で見た時に「自分はここで成長し続けられるか?」という問いには、
正直に答えてあげてほしいと思います。

判断基準③将来のなりたい姿につながっている
「この仕事に意味はあるのかな…」「このままじゃ、なりたい自分になれない気がする…」
そんな思いが頭をよぎることはありませんか?これは実は重要なサインかもしれません。
確かに、自衛隊では貴重な経験を積むことができます。でも、その経験が自分の目指す姿につながっていないと感じ始めると、だんだん虚しさが募ってきます。
同期と「この仕事って意味あるの?」なんて愚痴を言い合うのはまだいいんです。問題は、一人でいるときにふとそんな思いが頭をよぎること。これは、今の仕事が自分の将来の目標と合っていない可能性を示唆しています。
ちょっと想像してみてください。20代、30代、40代…そして人生の終わりを迎えるとき。今の時間を振り返って「あの時間は本当に良かった」と心から言えますか?
実は、私が自衛隊を退職したのもまさにこの理由でした。
私の夢は「グローバルに活躍する自衛官」。でも、組織の様々な制約でそれが難しいと分かったとき、「じゃあ、違う道を探そう」と決意しました。(今思えば、そもそもグローバル志向なら自衛隊を選ぶこと自体が矛盾していたかも…笑)
結果的に、今は外資系企業でその夢を実現できています。
よく先輩たちから「今は我慢。必ず誰かが見てくれている」と言われました。でも興味深いことに、そう言う先輩たちも、実は希望とは違う配置で我慢している状況でした。
先輩方の言葉を否定するつもりはありません。ただ、現実的に考えて、全員が報われるわけではない…というのも覚えておく必要があるでしょう。
判断基準④家族との時間
「子どもの成長、ちゃんと見れてますか?」
「パートナーとの時間、足りてますか?」
週末しか顔を合わせられない生活が続いているなら、それは人生の大切なものを見失いかけているサインです。家族のために働いているはずなのに、肝心の奥様がいつも疲れていたり、家族に苦労を掛けていたり、犠牲にして働いている自分に気づいたら要注意です。
仕事を第一優先にするあなたに、家族はもうついていけないと思っている可能性があります。大切なものを失う前に自分にとって何が1番大事なのかを今一度問いかけてみましょう。
自衛隊では、「任務が最優先」という言葉を繰り返さざるを得ない状況も多いはずです。パートナーや子供との大切な時間を後回しにしていると感じたら、それは大きな警告サインと言えます。
任務は確かに最優先かもしれません。ですが、あなたの人生の最優先事項はなんですか?
判断基準⑤「苦労」か「苦痛」か
自衛官は並外れた我慢強さを持っています。厳しい訓練や実働を日々こなしているため、時として「苦労」と「苦痛」の違いが分かりづらくなってしまうのです。
ここで重要なポイントをお伝えしましょう。「苦労」とは、将来の自分の成長につながる経験のことです。乗り越えた先に目標があり、「あの時の苦労は意味があった」と振り返れる経験です。
一方で「苦痛」は全く異なります。毎日の出勤が苦しく、その先にも意味を見出せない仕事が待っているような状態です。これは、キャリアの重大な警告サインかもしれません。
私自身、現役時代には多くの「苦労」を経験し、それを通じて成長できました。しかし最終的に感じたのは「苦痛」でした。将来の展望が見えない中で、なぜこれほどの時間と労力を費やさなければならないのか─そんな疑問が常につきまとっていました。
「努力が足りない」「我慢が足りない」という声も聞こえてきそうですが、それは本質的な問題ではありません。良い職場とは、社員の将来像を明確に示し、その実現をサポートできる場所です。社員の期待と希望に応えられる組織であることが重要なのです。
「頑張れば報われる」─そう実感できる人々が多くいる組織こそが、理想的な職場だと私は考えています。残念ながら、当時の私には自衛隊がそのような組織には映りませんでした。それが転職を決意した理由です。
自衛官の仕事が容易ではないのは当然のことです。しかし、ただ耐え続けた先に待っているのが更なる「苦痛」であれば、それは皆さんの才能を活かせる場所ではないかもしれません。
おわりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
「辞めたいけど、辞める理由がわからない」
そんな曖昧な悩みこそ、最も放置しやすく、でも最も危険なサインです。
自衛官としての経験は、決して無駄ではありません。
むしろ、民間では評価されるスキルがたくさんあります。
ただ、自分の人生のハンドルを誰かに預けっぱなしにせず、しっかり握ってほしいんです。
この記事が、あなたの迷いに少しでも光を当てることができたなら、
それ以上に嬉しいことはありません。