【え!俺関係ないのに!】海上自衛隊の不祥事が陸海空自衛官の転職市場価値を下げる理由。

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はじめに

自衛隊の不祥事が報じられると、多くの自衛官が「自分には直接影響がない」と感じるかもしれません。しかし、これらの事件が将来の転職市場でどのように評価されるか、その影響は計り知れません。社会的なイメージの損失は、自衛官の市場価値に深刻な悪影響を及ぼす可能性があり、そのためにどのように対応すべきかを理解することが重要です。本記事では、今回の海上自衛隊の不祥事があなたのキャリアにどのように影響を及ぼすか、具体的な事例を交えながら詳細に解説します。

この記事でわかること

  1. 自衛隊の不祥事があなたの市場価値に及ぼす影響とその具体例
  2. 不祥事によって増加する業務が、あなたのキャリア進展にどのような影響を与えるか
  3. 市場価値を維持し、さらに向上させるための具体的な手段

他隊員の不祥事があなたの市場価値を下げるカラクリ

自衛隊の不祥事が公になると、しばしばメディアによって大々的に報道されます。これらの不祥事によって、組織全体の信頼性が損なわれるのはもちろんのこと、あなたの自衛官としての市場価値やキャリアにも影響が及ぶことがあるってご存知でしたか?これはあなたが直接不祥事に携わっていなくても、です。つい最近報道されたこちらの不祥事を具体例に説明します。

2024年7月12日、防衛省は海上自衛隊を中心に218人の自衛官を処分しました。
その中には5人の「免職」も含まれ、自衛隊の国民の信頼を揺るがす事態となっています。違反内容は特定秘密情報の取り扱い、潜水手当の不正受給、食事の不正飲食、パワーハラスメントなどがあり、問題が最も多かった海上自衛隊の幕僚長も退職することを表明しました。(筆者要約)

理解していただきたい大前提として、民間企業は「お互いの信頼」で成り立っています。
そのため、自社のイメージが下がるような行動は極力避けます。具体的な場面を想像してみてください。

A社は中途採用で自衛官Bさんを採用しました。
関係会社への挨拶の際、Bさんは「前職は自衛隊です」と自己紹介します。
関係会社の社員Cさん、Dさんは「へぇー!そうなんですね!厳しい世界を歩まれてきたのですね!」とあなたのことを認める発言をします。
ですが、言葉には出しませんが、Cさん、Dさんは「この前給料の不正受給に関する不祥事があったな……、そのほかにもパワハラとかも……」と考えます。

想像に難しくないですよね。
それがわかりきっているので、採用をする現場は自衛官を採用することに及び腰になってしまいます。それは今回不祥事があった海上自衛官だけではありません。陸海空自衛官すべてが対象になります。民間企業では、「陸海空」の区別はなく「自衛隊は自衛隊」のイメージしかありません。なので、自衛官全体が不安材料とみなされ、その結果、元自衛官の市場での競争力が下がることにつながります。

自衛隊の不祥事が転職市場に与える影響

自衛隊の不祥事が明るみに出ると、多くの民間企業が採用の際にリスクを考慮するようになります。不祥事により、組織の一員としての自衛官に対する否定的な見方が広がり、「あえて積極的に採用しなくて良いか」という姿勢になります。このような状況では、自衛官出身者が他の候補者に比べて雇用されにくくなることが一般的です。
一般的に、採用担当の人事や面接官は、「パワハラしそうな人を入社させたくない」「法令違反をする可能性がある候補者を採用したくない」と当たり前のように考えています。会社によっては、『パワハラ傾向のある人のチェックリスト』のようなものもあって、会社の健全性を可能な範囲で保とうとします。もちろん、「自衛隊の不祥事=隊員全員が悪」とは思っていません。個人の問題であることも理解しています。ですが、同じレベルの候補者がいてどちらを採用しても良いけど、採用できるのは1名だけという状況であれば、自衛隊出身者が選ばれる可能性は低いでしょう。
つまり、過去数々の不祥事によって、自衛隊出身者が「選ばれない存在」になってきているということなのです。したがって、不祥事の発生とその社会的な認識に敏感であることが、将来のキャリア戦略を練る上で重要です。

【コメント】「採用について警戒するのは間違いない。」

以上のように、組織全体のイメージが損なわれると、その影響は個々の自衛官にも及びます。それに伴って、「自衛官」という職業の需要は下落し、採用についても積極的には行われないため、市場価値は下がっていく一方です。特に、自衛隊出身という背景が採用市場でネガティブに捉えられることがあり、これがキャリアの機会を制限することにつながります。
さらに、自衛官を定年した後の再就職市場においても同様の影響があり、不祥事の影響で市場価値が下がる可能性が高まります。事実、今回の海上自衛隊の不祥事を見て、知り合いの経営者は「自衛隊にいる人みんなが悪いわけではないと頭ではわかっているけど、これだけ大量に処分されるってことは、きっと何かしら組織ぐるみなんだなって思う。採用について、偏見があるわけではないけど、警戒するのは間違いない。」とコメントをしていました。

あえて自衛官を採用する意味あるのかな……

【負のスパイラル】業務増加→残業増加→本来業務を圧迫→成長の鈍化

不祥事が起こると、特別監察が行われたり、法令や規則、手順の見直しが強化され、自衛官は本来の業務に加えて、さらなる追加の業務を負うことになります。これにより、市場で評価されるはずだったあなたの本来の業務を行う時間は奪われ、スキルや経験の向上や機会が制限されることになります。
くわえて、積み重なってしまった業務で残業が増え、疲労やストレスは増加。負のスパイラルに陥ってしまいます。あなたのスキルや経験を伸ばしていくチャンスはどんどん失われていきます。長期的には、これが社会人としての成長の機会を遅らせ、市場での競争力をさらに低下させる結果になるのです。

不祥事の影響を受けないようにするための戦略

自衛隊の不祥事から身を守るためには、個々の自衛官が積極的にキャリア管理を行うことが重要です。具体的な戦略としては、次のようなアプローチが有効です:

  1. 専門性の強化
    自分自身が業務として行なっている仕事が、民間企業ではどのように行われているのかを学ぶことによって、自衛隊で身につけることができるスキルとできないスキルの判別がつくようにしましょう。そうすることによって、学びのきっかけを作ることができます。無料のオンラインセミナーなどを通じて、勉強をしていくと良いでしょう。
  2. 積極的なネットワーキング
    業界内外の関係者と積極的に関わることで、新しい機会を見つけやすくなります。また元自衛官で今は民間企業に勤める人とコミュニケーションを取ることによって、新たな気づきが得られるかもしれません。
  3. 継続的な学習と自己啓発
    専門性の強化にもつながる部分ですが、専門性を磨くなかで、最新の業界動向を追いかけることも可能となります。関連する資格や研修に参加することで、キャリアの幅を広げます。資格は、今あなたが行なっている業務に直接関係のある資格を選ぶようにすると、よりキャリアに磨きがかかります。
  4. 職務経歴書の定期的なアップデート
    職務経歴書を定期的にアプデートし、スカウトがいつでももらえる状態にしておくのも1つの手段んです。あなたが行なってきた業務や改善を具体的な数字として記載し、転職サイトにアップしておきましょう。あなたの実績を見た転職エージェントやヘッドハンターがスカウトを送ってきてくれれば、「あなたの仕事に需要がある」ということです。他方で、職務経歴書をアップデートしても「全くスカウトが来ない」という状態なら、黄色信号。あなたの専門性をもっと深掘りする必要があるでしょう。
    (職務経歴書の書き方はこちらの投稿も確認してみてください!→
    【2024年版】「これでダメだったら諦めて」落ちない職務経歴書の作成のための『数値化4ステップ』」)

これらの戦略を実行することで、不祥事の影響を最小限に抑え、自衛官としての市場価値を維持し、さらに向上させることが可能です。

おわりに

自衛隊の不祥事があなたのキャリアに与える影響は、直接的でなくても無視できません。適切な対応と戦略的なキャリア管理を行うことで、将来の成功を確実なものにすることができます。この記事が皆さんのキャリア形成と将来計画に役立つことを願っています。

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