あなたは転職や再就職を考えた時、「自衛官の市場価値って低いんだよな……」と思ったことはありませんか?
私自身空自の幹部自衛官として約17年の経験がありますが、ずーっと「自衛官はつぶしが効かない」「転職しようとしても市場価値は低い」「自衛隊での経験は民間では役に立たない」と正直思っていました。
「幹部」ってチヤホヤされるけど
別につぶしが効くわけでもないんだよな……
ですが、実際に転職をして民間で働き始めるとそのイメージは逆転しました。
・「意外と民間ってラクだな」
・「自衛官としてやってきた仕事って案外役に立つな」
・「自衛隊の経験があるから今があるんだな」
と感じています。
そのおかげもあってか、外資企業に転職してから昇任もさせてもらい、週2回のリモートワークでは家族のケアもしつつ、自衛隊では絶対に得ることができなかった日々を過ごしています。また企業からのスカウトも日々舞い込むため、「明日職業を失っても生きていける」という確信があります。
他方で、民間に行った自衛官が必ずしもこういう経験ができるかと言えば、そうでもありません。なかには「民間に行ったけど合わずに自衛隊に戻ってきた」という人もいますし、「音沙汰もなくて連絡が取れない」という人もいます。
この違いは一体どういうところから生まれてくるのでしょうか?
今回は『自衛官の市場価値が低い3つの理由とその対策』について私の転職経験、面接官経験を踏まえてお伝えします。
この記事はこんなあなたにオススメです。
・自衛官の市場価値は低い、と思っている人
・これから自衛官になる、あるいは自衛官になったばかりで、自衛官を続けるか否かを悩んでいる人
この記事を読めばこんなことがわかります!
・転職市場にマッチするキャリアの育て方
自衛官の市場価値が低いと言われている本当のワケ
まずはじめに自衛官の市場価値が低いと言われている本当のワケについてお話しします。
結論からいうと、
「ミスマッチ」
です。
自衛官から転職をしようとするとき、多くの人は転職サイトに登録します。
ですがそこでオススメされるのは保険の営業や不動産の営業など成果報酬制度の仕事ばかりです。なぜなら「体力がある」「根性がある」と思われているためです。これらの仕事は年収がとても良い反面、成果が全てなので、「キツイ仕事」と言われています。
ただ、年収がとても良いので、職場や環境に不満がある自衛官は転職活動でこのような仕事を選んでしまうことがあります。ですが、すべての自衛官は「営業」なんてしたこともありませんし、自分のお給料が自分の成果に連動する、という経験もありません。保険に関する知識も不動産に関する知識もありません。これって完全に「ミスマッチ」なんですよね。
ミスマッチした職業を選んでしまうと、職場の上司や同僚からの評価は当然下がります。そして、1年や2年以内の短期間での離職が発生します。そうするとその話を聞いた、同期や友人は「あ、こんな短期間で辞めちゃったんだ。やっぱり自衛官からだとキツかったのかな」と感じます。
こうして、自衛官の市場価値が低くなっていくのです。ではこのミスマッチはどういう理由で発生するのでしょうか?
ミスマッチ原因その①
アピールすべきことがわからない
まず一つ目の問題点として、自衛官が自分の経験やスキルを民間企業にアピールすることが難しいという問題があります。普段自衛隊で行っている業務内容と、民間企業で求められる業務内容が大きく異なるため、自分の強みや能力をどのようにアピールすれば良いのか見つけるのが難しいのです。
このギャップを埋めるためには、自分自身が持っているスキルや経験をどのように活用できるか、また、それが民間企業にどのように貢献できるかを具体的に理解することが必要となります。
対策
今までの業務を全て書き出す!
まずあなたが今の配置や前の配置でどのような業務をしていたのかを書き出してみましょう。
書き出すことによって、それまでは見えなかった自分の業務が見えるようになっていきます!
ミスマッチ原因その②
コミュニケーションエラーが起きやすい
2つ目の課題は、自衛隊特有の専門用語が多く、これがコミュニケーションの障害となることがあります。
自衛隊の業務には、一般の企業や職場では使われない、特殊な専門用語や言葉が存在します。これらの用語は自衛隊内部では一般的に使われ、理解されていますが、それが民間企業にとっては理解しにくい「未知の言葉」となってしまいます。
その結果、自衛官が自身の経験や能力を表現する際に、理解を得られず、伝えることが難しくなることがあります。この問題を解決するためには、自衛官自身が自身の経験や能力を一般的な言葉で表現できるようになる必要があります。
対策
一番カンタンな対策は、
「中学生でもわかるように説明する」
ことです。
これをやることによって、誰にでもわかるように説明することができるようになりますし、自分自身よく理解していなかった部分を明らかにすることができます。
ミスマッチ原因その③
「体を鍛えている」イメージしかない
三つ目の課題は、一般的に自衛隊員のイメージが訓練だけをしているという偏見があることです。
最近ではテレビでカ○レーザーが自衛隊の装備品を紹介したりする番組があったりしますが、あれって隊員が訓練ばっかりしているというイメージを植え付けてしまいます。そのウラで整備をしたり、訓練の計画を立てたりする業務は少しも焦点が当たりません。ですが、民間では装備品の取り扱いそのものよりも、計画の立案や管理の経験の方が求められます。
自衛隊員が具体的にどのような経験を積んでいるのか、それがどのように民間企業で活用できるのかを理解することは、一般の人々にとっては「極めて困難」です。なので、転職・再就職活動をしているあなた自身が説明をしてあげる必要があるのです。
しかし、この事実は一般的にあまり知られていないため、自衛隊員が民間企業にアピールするためには、自身が持っている経験とスキルをどのようにアピールできるか、具体的に理解することが必要です。
これにより、自衛隊員の市場価値を高め、自衛隊員の転職活動を成功させる可能性が飛躍的に高まります。
対策
やってきた業務を全て書き出す!
自衛官が転職・再就職をする際、どうしてもキラキラした経歴を書いてしまいがちです。たとえば海外訓練に参加したとか、昇任が早かった等々……。ですが、これらは民間企業からすれば「どうでも良い」内容です。それよりもあなたが普段どういう業務をしているのかを伝えるために、いったん全ての業務を書き出しましょう。そうすることで、あなた自身も見えていなかった「民間に通じるスキル」が見えるようになっていきますよ!
まとめ
以上、自衛官の転職市場が低い理由3つと対策についてお伝えしてきました!
転職・再就職の参考になれば幸いです!