
こんな悩みはありませんか?
- 定年が近づいてきたけれど、再就職の準備を何から始めればいいのか分からない
- 援護の求人を見ても、自分の経験を活かせそうな仕事が見当たらない
- 資格を取ったほうがいいと聞くけれど、どの資格が本当に役立つのか分からない
- 「自衛官の再就職は難しい」と言われて、漠然と不安になっている
こんにちは、八木です。私は航空自衛隊で17年間勤務したあと民間企業に転職し、現在は外資系企業で管理職をしています。これまでに150人以上の自衛官の方から転職・再就職の相談を受けてきました。
相談の中でも、ここ最近特に多いのが「定年が見えてきた幹部自衛官の方」からの相談です。若年定年制の自衛官は、一般企業の会社員よりもかなり早いタイミングで第二のキャリアを考えなければなりません。それなのに、何をいつまでに準備すればいいのかを教えてくれる人は意外といないんですよね。
この記事では、自衛官の再就職が難しいと言われる理由と、定年前の幹部自衛官が今から始めておくべき準備を5つに絞って解説します。
結論:再就職が難しいのは「準備の順番」を間違えるから
先に結論をお伝えします。自衛官の再就職が難しくなってしまう一番の原因は、能力不足ではなく「準備の順番」と「求人の選び方」にあります。
入社したい時期から逆算して動き出す時期を決め、職務経歴書を早めに作り、背伸びをしない求人を選ぶ。資格は取る前に効くかどうかを確かめ、職場での取り組みは「共有した実績」にしておく。この順番で準備を進めれば、定年前の限られた時間でも十分に間に合います。
自衛官の再就職が難しいと言われる3つの理由
理由1:援護の求人は現場作業が中心になりやすい
自衛隊の援護を通じて紹介される求人は、どうしても運輸・物流・警備・施設管理などの現場作業を中心とした仕事が多くなりがちです。もちろんそれ自体が悪いわけではありませんが、幹部として調達や計画、部隊の管理といったデスクワーク中心でキャリアを積んできた方にとっては、「自分の経験とつながらない」と感じる求人が多いのが実情です。
また、地域によって紹介される求人の数にもかなり差があります。地元だけで探していると選択肢が少なく、「そもそも合う求人がない」という状態になりやすいので、近隣の地域や援護以外のルートも視野に入れておくことが大切です。
理由2:幹部の仕事は民間の言葉に置き換えないと伝わらない
自衛隊の中では当たり前に通じる言葉も、民間の採用担当者にはほとんど伝わりません。私自身、民間に来てから言葉の意味や略語が分からずに戸惑いましたが、逆の立場でも同じことが起きているわけです。
例えば、相談者の方の中には「危機管理」を「リスク管理」と言い換えただけで書類選考の通過率が一気に上がり、世界最大手の保険会社のリスク管理部門へ転職された方がいます。ほかにも「事業管理」を「プロジェクト管理」と言い換えて国内大手企業に転職された方、「メンタルヘルス」を「健康管理」と言い換えて人事職の採用に通過された方もいます。経験の中身は同じでも、言葉ひとつで評価は大きく変わります。
理由3:動き出す時期が「早すぎる」か「遅すぎる」
定年が近い方の相談で意外と多いのが、活動を始めるタイミングの悩みです。定年の直前になってから動き出すと、職務経歴書の準備や応募、面接が間に合わず、焦って条件の合わない会社に決めてしまうことがあります。
一方で、早く動きすぎると、内定をもらってから入社するまでの待機期間が長くなりすぎてしまいます。企業側も「1年以上先に入社する人」を採用するのは難しいので、早ければ早いほど良いというわけでもないんです。
相談の中でこんなケースがありました
先日、定年まで1年半ほどの幹部自衛官の方から相談を受けました。その方はとても真面目に準備を進めていて、インターンシップでいくつもの企業を訪問し、パソコン系の資格や英語の試験にもすでに取り組んでいました。
ところが、インターンシップで回った企業の仕事は現場作業が中心で、長年デスクワークで調達などの業務を担ってきたご自身の経験に合う仕事はほとんど見つからなかったそうです。「準備はしているのに、自分に合う求人がない」というのが、その方の一番の悩みでした。
そこで一緒に話し合ったのは、次の3つです。
- 入社したい時期から逆算して、応募を始める時期を決めること
- 年明けまでに職務経歴書の「仮置き版」を作り、それをもとに求人を探すこと
- 求人は「今の自分で、背伸びせずに次の一歩を踏めるか」で選ぶこと
この方の例は決して特別なものではなく、定年前の幹部自衛官の方からよく聞く悩みです。ここからは、この相談の内容も踏まえて、定年前に始めておきたい準備を5つ紹介します。
定年前の幹部自衛官が今から始める準備5つ
1. 入社したい日から逆算してスケジュールを組む
まず最初にやってほしいのが、「いつ入社したいか」を決めて、そこから逆算してスケジュールを組むことです。目安として、内定から入社までは3か月ほどかかると考えておくと安心です。そこから書類選考や面接の期間を考えると、入社希望日のおよそ半年〜9か月前には応募を始めておきたいところです。
実は、この「逆算する力」は自衛隊でしっかり身についているはずです。私自身、民間に来てから一番役に立ったのが、自衛隊で学んだ「イベントから逆算し、いつまでに何を完成させ、未完成ならどうするかを自分で組み立てる力」でした。民間では計画の立て方を誰も教えてくれないので、この力は大きな武器になります。ぜひ自分の再就職にも、演習や行事の準備と同じ感覚で使ってみてください。
スケジュールの立て方については、転職検討中の自衛官のためのスケジュール構築方法でも詳しく解説しています。
2. 職務経歴書の「仮置き版」を早めに作る
次に、職務経歴書を早めに作っておくことです。ここで大事なのは、最初から完璧なものを目指さないことです。まずは「仮置き版」で構いません。
職務経歴書を一度書いてみると、「自分は何をアピールできるのか」「どんな仕事なら経験が活きるのか」がはっきりしてきます。逆に、職務経歴書がないまま求人を眺めていても、どれが自分に合っているのか判断がつきません。仮置き版があれば、援護の担当者や転職エージェントに相談するときも、話が一気に具体的になります。
書くときは、肩書きや経歴を並べるよりも「何をして、どんな成果を出したか」を中心にしてください。私自身、転職のときの職務経歴書には教育課程や役職の経歴はあえて書かず、コスト削減とプロジェクト管理の実績だけで勝負しました。採用側が知りたいのは「この人がうちで何をしてくれるのか」だからです。
3. 求人は「背伸びせずに次の一歩を踏めるか」で選ぶ
求人を選ぶときの基準は、「今の自分で、背伸びせずに次のステップを踏めるかどうか」です。仕事内容を読んで、「これなら自分にもできそうだ」と確信できるかどうかを一つの判断材料にしてください。
例えば、調達や契約の業務を長く担当してきた方であれば、民間企業の購買・調達部門や、取引先との契約管理を行う仕事は内容をイメージしやすいはずです。逆に、名前だけで華やかな業界や、まったく経験のない職種に飛び込もうとすると、書類選考の段階で苦戦しやすくなります。無理なチャレンジよりも、まずはマッチングを優先する方が、結果的に入社後も長く活躍できます。
また、求人を探すルートは援護だけに限定しないことも大切です。援護の求人、転職エージェント、自分での応募と、複数のルートを並行して持っておくと、「合う求人が一つもない」という状態を避けやすくなります。
4. 資格は「取る前に」転職で効くかを確かめる
定年前になると、部外技能訓練などで資格を取る機会が増えます。ただし、ここで気をつけてほしいのは、資格を取ること自体が目的になってしまうことです。
例えば、ドローンの操縦や運行管理者のように、合宿形式でまとまった時間を使う資格もあります。時間と労力をかける前に、「その資格を持っている人を求める求人が実際にどれくらいあるのか」「自分が目指す仕事で本当に評価されるのか」を確かめておきましょう。求人サイトで資格名を検索してみるだけでも、おおよその需要は分かります。
私は以前から「自衛官の転職に資格は必須ではない」とお伝えしています。詳しくは「自衛官の転職に資格はいりません。」の記事も参考にしてみてください。資格はあくまで、目指す仕事が決まったあとに「後押し」として使うものだと考えると、選び方を間違えにくくなります。
5. 職場改善は「共有した」ところまでやって実績にする
最後は、今の職場での取り組みを「実績」に変えておくことです。自衛官の方は、日々の業務の中で集計表を作ったり、仕事のやり方を改善したりと、実はたくさんの工夫をしています。ところが、それが自分だけで使うものにとどまっていると、職務経歴書に書きにくいんです。
例えば、整備や業務の実績を集計しているのであれば、保全に配慮したうえで部署の共有フォルダに置き、ほかのメンバーも使える状態にする。そうすれば、「集計の仕組みを作り、部署全体で活用できるようにした」という立派な実績になります。民間企業で評価されるのは「やったこと」よりも「組織にどんな変化をもたらしたか」です。
「やった」ではなく「共有した」「展開した」ところまでやって、初めて一つの成果になる。定年までの残りの期間で、ぜひ意識してみてください。
準備を進めるときに意識してほしいこと
民間企業に来て私が一番驚いたのは、意思決定の速さです。今日決めたことを今日から全部適用する、ということも珍しくありません。自衛隊のように時間をかけて準備してから動くやり方に慣れていると、最初は戸惑うかもしれません。
だからこそ、再就職の準備は「考えてから動く」より「動きながら考える」くらいの気持ちで進めてほしいと思います。職務経歴書の仮置き版を作る、求人サイトで資格名を検索してみる、誰かに相談してみる。どれも今日からできる小さな一歩です。
また、採用する側から見ると、自衛官の方は表現が硬すぎたり、1から10まで全部理解してもらおうとしたりする傾向があります。自己紹介や経歴の説明を一度録音して聞き直してみると、自分では気づかなかった硬さや長さに気づけるので、面接の準備としてもおすすめです。
まとめ
自衛官の再就職が難しいと言われるのは、援護の求人と幹部の経験が合いにくいこと、経験が民間の言葉で伝わりにくいこと、そして動き出す時期を間違えやすいことが主な理由です。
だからこそ、次の5つの準備を早めに始めておきましょう。
- 入社したい日から逆算してスケジュールを組む
- 職務経歴書の「仮置き版」を早めに作る
- 求人は「背伸びせずに次の一歩を踏めるか」で選ぶ
- 資格は取る前に転職で効くかを確かめる
- 職場改善は「共有した」ところまでやって実績にする
定年までの時間は限られていますが、順番さえ間違えなければ、これまでの経験を活かせる仕事はきっと見つかります。
一人で抱え込まずに、まずは相談してください
「準備はしているのに、自分に合う求人が見つからない」
これは、定年が近い幹部自衛官の方から本当によく聞く声です。真面目に準備をしている人ほど、「これで合っているのだろうか」と一人で悩みを抱えてしまいがちです。
私自身も、民間に出てから初めて「自衛隊での経験は、伝え方次第でこんなに評価されるんだ」と気づきました。現役のうちは、自分の経験がどこで通用するのかを客観的に見るのはなかなか難しいものです。だからこそ、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
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