30代自衛官の転職が失敗するのは○○力が足りないからです|元自3佐の転職解説

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転職活動がうまくいかない理由

私は、現在外資系企業に勤めていますが、
その前は自衛隊に17年間在籍していました。

その後、民間企業への転職を決意し、
試行錯誤の末に外資系企業への転職を果たしました。

しかし、転職活動を振り返ると
「スキル・経験」をアピールしてもなかなかうまくいかない
という現実に直面していました。

自衛官で経験したことを伝えても
民間でも同じようにできるとは思えないですけどね……。」
と面接官に言われてしまうのです。

昨今、多くの元自衛官が転職活動に挑戦しています。
しかし、なかなか内定が出ず、疲れ果ててしまう人も少なくありません。

多くの方が、「スキルが足りないから転職できない」と考え、
資格を取る等の努力を重ねます。
しかし、どれだけ努力しても
結果が出ないことに苦しむ人も多いです。

では、本当に「スキル・経験不足」が原因なのでしょうか?

答えは NO です。

自衛官の多くが見落としている最大の問題は
「共感力の不足」
なのです。

私自身、試行錯誤しながら、
結果的に内定獲得という評価につながったのは、
「企業の課題を理解する力」=【共感力】でした。

転職は「自分のスキル」を売る場ではない

私自身、転職活動を始めた当初は、
「これまでの自衛隊でのキャリアをどう売り込めばいいか?」
とばかり考えていました。

履歴書や職務経歴書には、

「このような経験があります」

「このようなスキルを持っています」

と書き、
面接では、「リーダーシップがあります」「マネジメントの経験があります」と伝えていました。

しかし、企業の採用担当者が本当に知りたいのは、
「あなたがどんな人間か?」ではありません。

知りたいのは、
「あなたが、自社の課題を理解しているのか?」
ということです。

そしてそれは、
企業の求人票に「募集の背景」として書かれています。

応募の時点でその課題を理解しておく。

さらに、
その課題解決のために自分自身が経験したことをまとめておく。


つまり、重要なのは「スキル」ではなく「共感力」です。

企業の「本当のニーズ」を理解する

採用面接では候補者に必ず次のような質問を投げかけられます。

– 「あなたがこれまで解決してきた最も困難な問題は何ですか?」
– 「その問題をどのように分析し、どう対処しましたか?」
– 「それによって、組織にどのような成果をもたらしましたか?」

これは、目の前にある課題について、どのように理解を深め、どのように対応していくのかを確認しています。この中で最も重要なのが、「課題感に対する共感」です。

あなたにも経験があるかもしれません。

上司からの指示に期限がなかったので、
ゆっくり取り掛かっていたら、実は急な案件だった。

調べてほしいと言われて、資料を探していたら、
早急に対応しなければならない案件で急かされた。

こんな経験があると思います。
いずれの場合も、指示をする側の立場や背景を理解しようとしていれば、急かされることはありません。

このように相手の立場を理解しようとする力、すなわち共感力が相手の「本当のニーズ」を掴むカギなんです。

共感力を高めるための3つのステップ

では、具体的にどうすれば「共感力」を高め、転職活動を成功させることができるのでしょうか?
次の3つのステップを意識してみてください。

1. 企業の「痛み」を理解する
求人票から読み解ける部分も多々ありますが、それだけでなく、会社のホームページやニュース記事を見て、業界の課題を把握することが大切です。

2. 自分の経験と企業のニーズを結びつける
私自身の転職面接でも、「自衛隊で培ったスキルを、どう企業の課題解決に活かせるのか?」を具体的に伝えることが求められました。

3. ストーリーで伝える
あなたが企業の問題を理解し、その解決のために力を発揮できる人物であることを伝える。

例えば、

– 「今回志望した理由は、募集背景にありました『事業拡大』に貢献できると考えたためです。」
(募集背景への理解)

– 「自衛隊では主に、器材の管理や調達業務に携わっており、今後御社でも事業拡大に伴い、管理の煩雑化や複雑化が発生すると考えます。」
(管理職が抱える悩み)

– 「一般的には知られていませんが、自衛隊が管理する器材は何万点にも及んでおり、そこでの経験を御社でも活かせると確信しています。」
(悩みに対する解決策の提示)

このように話すことで、企業側は「この人なら、うちの会社でも活躍できるかもしれない」と感じるようになります。

こう言われたいですよね。

転職で成功する人は、共感力がある人

転職で成功する人は、必ずしもスキルが最も高い人ではありません。
むしろ、企業の悩みを理解し、自分がその解決にどう役立つかを伝えられる人が成功します。

転職市場は、スキルの優劣で勝負する場所ではありません。
「企業の立場に立って考えられる人」こそが、求められる人材なのです。

最後にD・カーネギーの名著「人を動かす」から、この共感力に関する部分をご紹介します。

一部抜粋

「今日もまた数千のセールスマンが十分な収入も得られず、失望し疲れ果てて街を歩いている。なぜか。それは、彼らが常に自分の欲するものしか考えないからだ。(中略)
我々は、ほしいものがあれば、自分で出かけて行って買う。我々は、自分の問題を解決することにはいつでも関心を持っている。だから、その問題を解決するのに、セールスマンの売ろうとしているものが役立つことが証明されさえすれば、こちらから進んで買う。」

それではまた!

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