【普及率74.5%】ジョブ型雇用の実態と転職・再就職自衛官に降りかかる働き方の『強制』変革とは……?

はじめに

近年、日本企業ではジョブ型雇用が急速に導入されつつあります。ジョブ型雇用とは、具体的な職務内容に基づいて従業員を雇用し、成果やスキルに応じて評価されるシステムのことです。これにより、各従業員が持つ専門性がこれまで以上に重要視されるようになっています。

しかし、自衛隊から民間企業に転職を考えている多くの自衛官は、自分のキャリアが民間企業で通用するのか不安に感じているのではないでしょうか。自衛隊の経験やスキルは、確かに軍事的な背景を持つものが多いため、民間で活かせるのかどうかは未知数だと思うかもしれません。

しかもジョブ型雇用が一般的になったおかげで、自衛官の働き方が「強制的に」変化してしまうのです……。

この記事では、ジョブ型雇用の背景や、自衛官が備えるべき専門スキルについて詳しく解説していきます。これを読んで、今後の転職やキャリア形成に役立ててください。

こんな人にオススメ

  • 転職を考えている自衛官で、ジョブ型雇用に対応したスキルを知りたい人 
  • 定年退官を控えており、再就職のために専門性を身に付けたいと思っている50代の自衛官 
  • 民間企業への転職が不安で、どのようなスキルが求められるのか知りたい30代~40代の自衛官 

この記事でこんなことがわかります!

  • ジョブ型雇用とは何か、そしてそれがどのように広がっているのか 
  • 自衛官が民間企業で活かせる専門性とはどんなものか 
  • ジョブ型雇用に備えるために、どのようなスキルを習得すべきか 

ジョブ型雇用の現状と自衛官に与える影響

ジョブ型雇用の導入が進む中、多くの企業が従来のメンバーシップ型雇用から転換を図っています。メンバーシップ型雇用では、企業に属しながら幅広い業務をこなすことが求められてきましたが、ジョブ型雇用では、職務ごとに求められる専門性が評価基準となります。

調査によると、ジョブ型雇用の導入率は19.8%で、5社に1社がすでにジョブ型雇用を採用していることが分かりました。さらに、33.7%の企業が導入を検討中です。特に従業員が1000人を超える企業では、29.5%がすでに導入済みであり、45.0%が導入を検討していることがわかっています。つまり、74.5%の大規模企業がジョブ型雇用を導入済みまたは検討中であり、これはジョブ型雇用が今後さらに一般的になる兆しです。日本全体が成果主義へと移行しつつあることを示しています。
(引用元:JACリサーチhttps://research.jac-recruitment.jp/information/339/

では、この変化が自衛官にどのような影響を与えるのでしょうか?

一つは、メンバーシップ型からジョブ型に対応できるようキャリアをシフトさせる必要性があるという点です。自衛隊は典型的なメンバーシップ型雇用の組織であり、今後も変化しません。そのため、ジョブ型雇用にシフトするためには、自ら動いていかなければなりません。
次に、働き方の変化です。ジョブ型雇用では、異動や配置換えなどは基本発生しません。なぜなら、あなたを採用した配置で働くことが求められており、企業はそれ以外のことをあなたに強要することができないからです。他方で、自分自身がその配置に満足できない、あるいは、もっとキャリアアップしたい、と考える場合は、自ら動く必要があります。つまり、今までは組織があなたのキャリアを管理してくれていましたが、ジョブ型ではあなた自身があなたのキャリアを構築していく必要があるのです。

これら2つの大きな変化に対応するためにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは自衛官が持つ専門スキルについて見ていきましょう。

一歩ずつ前進しましょう


自衛官が持つ専門スキルとその活用法

自衛隊での経験は、すでに多くの企業で重宝されています。特にリーダーシップ、リスク管理能力、高いストレス耐性などは、多くの業界で必要とされるスキルです。しかし、これらの能力に加えて、自衛隊で割り当てられた専門職務の知識も重要です。

例えば、陸上自衛隊では多くの隊員が教育や訓練の経験を積んでいますが、これは民間企業においても社員教育や研修担当として活かすことができます。また、リスク管理や危機管理のスキルは、災害対応やセキュリティ管理など、特に近年注目されている分野で求められています。

もちろんここに記載している以外のことも専門知識として応用が可能です。自衛官と一括りに言っても、業務は千差万別です。ぜひ以下を読み進めて自分のキャリアの活かし方を学んで下さい。


自衛官が持つ専門性をさらに進展させるためのスキルとは?

自衛官がすでに持っているリーダーシップやリスク管理、危機対応などの専門性は、民間企業でも大いに評価されます。しかし、ジョブ型雇用の時代において、これらの強みをさらに伸ばし、競争力を高めるためには「深化」と「拡張」の2つの方向でスキルを発展させることが重要です。また、これらのスキルは、現役自衛官としての職務を通じて積極的に学び、実践し、成果として示すことで、将来的な転職やキャリアアップに備えることが可能です。

リーダーシップの深化

自衛隊でのリーダーシップ経験は、厳しい環境下での統率力や意思決定能力に基づいています。しかし、民間企業ではチームビルディングやモチベーション管理、異なるバックグラウンドを持つ社員との協働が求められる場面が増えます。
現役のうちから組織マネジメントに関する最新の理論を学び、日々の指導や管理業務で実践することで、このリーダーシップを深化させ、成果として証明することができます。これにより、退官後のキャリアにおいても高く評価されるリーダーシップを持つ人材としてアピールできるでしょう。

リスク管理スキルの拡張

自衛官が持つリスク管理能力は、主に災害対応や安全管理といった場面で活かされています。民間企業では、これに加えて「経済的リスク」や「法的リスク」、さらには「サプライチェーンリスク」など、幅広い分野でのリスク管理が求められます。
現役自衛官としての職務の中で、これらのリスク要素を積極的に学び、訓練や実際の任務で応用していくことが重要です。これにより、リスク管理のスキルを拡張し、実績として成果を挙げることで、民間企業に移行する際の大きな武器となります。

問題解決スキルの深化と応用

自衛官は任務の遂行にあたり、迅速かつ正確な問題解決能力を身につけています。このスキルをさらに進展させるためには、複雑なビジネス課題や顧客対応の場面で応用できるような方法論を学ぶことが必要です。
現職での業務において、新しい問題解決フレームワークを導入し、実際の業務や訓練でそれを活用することで、問題解決能力を深化させることが可能です。成果を上げた実績として評価されることで、転職後にもその能力が活かされるでしょう。

経験や知見を使わずに捨てるのはもったいない

計画立案・実行のスキルの進展

自衛官は任務達成のために、的確な計画立案とその実行スキルを磨いてきました。このスキルは、民間企業においてもプロジェクトマネジメントの場面で非常に重要です。
現役自衛官の間から、プロジェクトマネジメント手法を学び、自衛隊での訓練や任務遂行において積極的に活用し、実際の成果を挙げることが重要です。成果を積み重ねることで、民間でも通用する計画立案・実行のスキルとして評価されるようになります。

安全管理スキルの深化

自衛隊で培った安全管理スキルは、特に危険を伴う任務において不可欠な能力です。現役の自衛官として、日々の業務において労働安全やリスク回避のための手法を磨き、それを実践に活かすことで、安全管理スキルを深化させていくことが求められます。
さらに、民間企業に適用できる安全管理の国際基準や規制について学び、それを自衛隊での業務に反映させることで、成果を挙げた実績としてアピールすることができます。これにより、安全管理のプロフェッショナルとして民間でも評価されるでしょう。


ジョブ型雇用に備えるための具体的なステップ

ジョブ型雇用に備えるためには、計画的にスキルを身につけ、成果を積み上げていくことが必要です。以下の具体的なステップを踏むことで、現役自衛官のうちからスキルアップを図り、将来的な転職やキャリアアップに備えることができます。

  1. 経歴の棚卸し
    まず、自分がこれまでに経験してきた業務や役割を振り返り、どのようなスキルを身につけてきたのかを整理しましょう。自衛官としての経験は多岐にわたりますが、その中で特に重要なスキルや成果を明確にすることが、次のステップに進む基盤となります。
  2. 経験豊富な業務の見極め
    経歴の棚卸しを行った後、どの業務において自分が最も経験を積んできたのかを見極めます。リーダーシップやリスク管理、計画立案など、自衛隊での経験が豊富な分野を特定することで、これを強みとして民間企業で活かせる準備を進めることができます。
  3. 強みとしたい業務に関する勉強会やセミナーの調査
    次に、さらに強化したいスキルや業務に関連する勉強会やセミナーを調査し、参加する機会を増やしましょう。例えば、プロジェクトマネジメントやリーダーシップ強化のための講座、リスク管理に関する最新の知識を学べるセミナーなどがあります。これらの機会を活用して、理論的な背景を学びつつ、実務に応用できるスキルを高めていきます。
    この際、注意していただきたいのは、「自分自身が全く知見のない新しい資格」を取るのは絶対にやめて下さい。
  4. 勉強した内容の実践
    学んだ理論や新しいスキルを、自衛隊での日常業務や訓練において積極的に実践します。単に知識を得るだけでなく、実際の場面で活用することで、スキルが深まり、自分自身の成果として蓄積されます。例えば、チームのリーダーシップを発揮する場面で新たなマネジメント手法を試してみたり、リスク管理のフレームワークを使って実際の問題に対応することができます。
  5. 成果の積み上げ
    最後に、日々の業務や実践の中で上げた成果を記録し、評価されるようにしましょう。具体的な数字やプロジェクトの成功例などを積み上げることで、自分のスキルが実際に効果を発揮したことを証明することができます。これらの成果は、ジョブ型雇用の世界で自分をアピールする際に非常に重要です。
強みをさらに伸ばすのが大事。

おわりに

ジョブ型雇用が主流になりつつある現代、自衛官にとっても転職市場で活躍するためには専門性の向上が欠かせません。
自衛隊で培ったスキルは民間企業でも大いに評価されますが、それだけでなく、新しいスキルを取り入れることが重要です。
現役自衛官としての職務の中でこれらのスキルを実践し、成果として示すことで、転職後の市場価値を大きく高めることができます。
すでに転職活動を視野に入れている方は、こちらのnote記事も参考になるかもしれません。

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