はじめに
一般的に、転職活動の期間は3〜6ヶ月が目安といわれています。
ですが、自衛官の場合は、転職活動そのものに掛けられる時間が短かったり、退職に時間を要したり、一般人とは異なる状況がたくさんあるため、4ヶ月から〜7ヶ月くらい掛かるのが一般的です。
実は、転職活動のポイントをきちんと踏まえれば、3ヶ月という短期戦や半年以上の長期戦で進めることも十分可能です。
この記事では、転職の流れやスケジュールの立て方について解説します。自分が置かれている状況や希望に添った転職を実現させるため、事前準備や面接、内定獲得・退職の流れなど、基本的な転職活動の段取りを押さえましょう。
この記事はこんな人にオススメ!
・転職を考えているけど、何から始めたら良いのかわからない現役自衛官
・転職の決意はしていないけど、将来のキャリアを考えて不安を感じている30代自衛官
この記事を読むとこんなことがわかります!
・自衛官からの転職に必要な活動期間
・転職活動を始めるのに必要なこと
・3ヶ月の短期で転職を実現する方法
・1年くらい掛けて転職先を考えた方がいい人の特徴はコレ
一般的な転職活動の期間と流れを知る
ここでは事前準備から転職先へ入社するまでの一般的な期間を4〜7ヶ月と設定し、それぞれのステップで注意すべきポイントを解説します。
転職活動は、「応募から面接までの期間」や「退職承認までにかかる日数」など、状況に応じて変動要素が多く、スケジュールの立て方に悩まれる方も多いでしょう。
転職を考えている多くの自衛官が「そもそも何から始めれば?」と立ち止まってしまいます。
まずは、一般的な転職活動のステップと取り組むべき内容について詳しく見ていきましょう。
【ステップ1】事前準備(2週間~1ヶ月)
転職の目的と目標を明確にする
「給与アップを狙う」「ワークライフバランスを整える」「キャリアを積む」といった、転職の目的や目標の具体的なイメージを定めると、自分がどのような会社を選ぶべきなのかが見えてきます。
転職の方針が決まれば、進路を選ぶ際に生じる迷いは最小限に抑えられますし、面接で聞かれる志望動機にも説得力が増します。
自己分析をする
書類選考や面接を通過するために、採用担当者に興味を持ってもらうためには、自己分析が欠かせません。
自己分析をするには、自分のこれまでの自衛官経験の中で強みや弱みを明確にすることが大切です。
まずは自衛官として自分ならどのような貢献ができるのか、経験やスキル、強み、業績などの面から掘り下げましょう。この際、キャリアを細かく振り返ると、自分では気付いていなかった強みや仕事への姿勢が見えてきます。私個人としてオススメなのは、「今までの配置や係等を全て書き出す」です。
これをやっておくと、自分自身の経験が何かしらに役立つかもしれない、という自信になります。さらに、面接で細かいことを聞かれても、詰まることなく回答することが可能となります。
自己分析の内容は履歴書や職務経歴書を作成する際にも役立ちます。しっかりと時間をかけて取り組むことが大切です。
【ステップ2】情報収集~応募(2週間~1ヶ月)
転職先候補を探す
一般的には、「希望する業界の将来性や特徴などの情報収集をした上で、応募企業を比較検討しする」ということが求められます。ですが、自衛官は通常民間企業のことなんて知らないので、「業種・業態」が何を指すのか知りませんし、ましてや自分自身の経験がどこで役に立つのかなんてまったくわかりません。
なので、オススメするのは、「スカウトを利用する」ことです。
【ステップ1】で洗い出した職歴や希望条件を転職サイトや転職エージェントに登録しておくと、マッチした求人が自動的に集まってくるので、気になる企業や良い条件の求人には目を通しておきましょう。
気になった企業は「検討中リスト」あるいは「気になる」ボタンを押しておくと比較検討もでき、役立ちます。
探し方によって候補となる企業が見つかる可能性が高まるため、さまざまな情報に触れることが重要です。
応募書類の作成
転職サイトを使って応募する場合、Web上で履歴書や職務経歴書などを作成します。 最近では紙ではなくデジタルデータで応募書類を作成することが当たり前になっていますが、紙であれ、デジタルであれ、志望動機や自己PRのコピー&ペーストは厳禁です。
書類内容の質によって面接官に与える印象が異なり、選考の通過率がアップする可能性があります。応募先に合わせてオリジナルなものを作成することがマストです。
応募
情報収集の過程で気になる企業が見つかったら、それぞれの企業に合わせた志望動機を添えて応募しましょう。選考の進み方やタイミングは、企業によってまちまちです。
無駄に活動期間を長引かせないためには、複数社に応募し同時並行で選考を進めることが重要です。
候補先企業のリサーチは継続して行い、転職先が決まるまでは常に応募を続けるのがおすすめです。
【ステップ3】選考~内定(1ヶ月~2ヶ月)
面接対策
有名企業であれば、面接に関する情報がネット上で見つかることがあります。しかし、真偽不明な情報が多いので参考程度に留めたほうが無難です。
面接担当者から聞かれるであろう基本的な質問に対し、どう答えるかを考える方が時間の使い方としては有意義です。転職エージェントを利用したり、家族を面接官に見立て練習してみたりするのも良いでしょう。
面接で基本的に聞かれる内容は、自己紹介・企業を志望した理由・退職理由・自己PRです。
この4つさえ明確に回答できていれば、面接で大きくつまづくことはないでしょう。また意外と大事なのが、「質問をする」こと。
多くの場合、面接官とあなたは初めて話します。初めての人同士で話すのですから、わからない単語や質問の意味がわからなかったりすることもあるでしょう。そんなときに焦って回答するのではなく、あなたが正しく理解しているかを確認しましょう。例えば「今のご質問は〜〜という理解ですが、合っていますでしょうか。」などあなたが理解していることを聞けばOKです。この質問をされて気分を害する面接官はいませんし、むしろ「あいまいなままにしない人なんだな」と好感度はあがります。
入社条件の確認
複数の内定を得た場合、どの会社を選ぶべきか悩むことがあるかもしれません。そんな時は改めて【ステップ1】で定めた転職の方針に立ち返って冷静に判断しましょう。
企業側から提示された条件もこのタイミングでしっかりと確認することが、入社後に「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないコツです。
条件や記載事項で気になる点があれば相談してみましょう。話し合いの結果、双方にとってメリットのある落としどころがみつかるかもしれません。
【ステップ4】内定後の退社準備(2ヶ月~4ヶ月)
退職の意思表明
民法の規定では、労働者は2週間前までに退職の意思を会社に伝えれば辞められるとされていますが、 自衛官の場合は、自衛隊から退職の承認をもらう必要があるため、2〜4か月の余裕を持った方が賢明です。
転職するからといって引き継ぎをおろそかにしたり、業務を投げ出したりするのはその後の関係性を考えてもおすすめできません。多くの場合、退職にまつわる就業規則が用意されているので、規定を踏まえて適切なタイミングで辞める意思を伝えましょう。
※退職者が増えた2023年以降
「司令官との面談」をするケースが増えてきているようです。
当然この面談は司令官のスケジュールに合わせて行われますし、それが行われないと退職手続きが進まない可能性も高いため、入社日をタイトにしてしまうと、あなたの退職が間に合わない可能性があります。
退職手続き
退職日が決まったら、退職金・税金や各種社会保険の手続き、自衛隊から貸与された官品の返却、後任への業務の引き継ぎなどを行います。新しい会社へ入社するタイミングによって受け取るものやその後の手続きが変わることもあるので、設定された締切りまでに責任を持って終えるようにしましょう。
【ステップ5】内定後の入社準備(2週間~1ヶ月)
引き継ぎや退職の準備
退職手続きとは別に、仕事の引き継ぎや社内外へのあいさつなども進めましょう。最終出社日を迎えるまでに、引き継ぎ用の資料を作ったり、後任とあいさつ周りをしたりとやるべきことは意外と多いものです。残っている有給休暇を取得するなら、それもふまえて退職日と最終出社日を調整しましょう。
事前準備を抜かりなく行うことで入社後のスタートダッシュがうまく切れるかもしれません。スケジュールの立て方は、特に希望がなければ、 1月、4月、9月など四半期や期の変わり目の入社を目指すか、担当している仕事の区切りがつきそうなタイミングから逆算 して退職の流れをイメージするとスケジュールが組みやすくなります。
入社手続き
源泉徴収票や年金手帳など、入社に必要な書類を準備しましょう。
マイナンバーや基礎年金番号も必要です。また、前職の退職後に転職活動をし、失業給付金を受け取っている場合、転職したことをハローワークに報告しなければならないため、注意が必要です。
転職スケジュールの応用編
ここまで、転職活動の基本的なスケジュールの立て方を紹介してきましたが、「今すぐ転職したい」という場合や、「もっと余裕を持って進めたい」という方もいるでしょう。
ここからは転職スケジュールの応用編として、短期戦(1ヶ月)、と長期戦(7ヶ月)の取り組み方と注意点について解説していきます。
短期戦!3ヶ月で転職活動を進める場合
3ヶ月以内に転職したいという方は、おそらくすでに離職中かよほどの事情で転職しなければならない状況にあると思われます。しかし、転職は求職者と企業の双方が関わるので、選考プロセスを自分の都合で勝手に変えることはできません。
自分にできることに関しては極力無駄を省き、転職活動に費やす時間を戦略的に増やすことが重要なポイントになります。個人的にはかなりタイトな転職活動となるので、オススメしません。
【ポイント1】転職サイトのスカウトサービスと転職エージェントを最初から使う
転職活動のプロセスを極力同時進行で行うことになります。情報収集にかける時間を省くため、転職サイトが提供するスカウトを活用しましょう。候補企業の提案や日程調整を任せられる転職エージェントを利用するのも有効な手段です。
【ポイント2】同時に複数社に応募する
最も調整に時間が掛かり、ある程度の期間を要する選考フェーズを短く抑えるために、複数企業へ同時に応募し、並行して選考を進める工夫が必要です。
企業側も短期で採用を決めたいという意思表示である 「急募」「面接一回」といった記載がある求人情報をチェックします。 その際も、休憩や移動時間を使って自己分析、企業研究などを続けることが大切です。
【ポイント3】通常業務の合間に引き継ぎ準備を進める
在職中の方で1ヶ月以内に転職したい場合、引き継ぎと退職交渉を同時に進める必要があります。引き継ぎ書の作成は日常業務の合間に少しずつ行っておくと良いでしょう。
内定が出ていない段階で退職の意思を伝えるのはリスクがありますが、なるべく円満に進められるように直属の上司に相談するなどしましょう。状況によっては有給休暇の消化を諦めることも検討しなければなりません。
長期戦!1年かけて転職活動を進める場合
「いいところがあれば転職する」「来年の目標は転職」など、時間的に余裕がある方は転職活動に十分に時間をかけられます。とはいえ時間に余裕があるだけに、多忙になってくると転職しようかなと思っていたことさえ忘れがちです。中だるみを起こさないためには、一定の工夫と努力が必要です。
【ポイント1】転職サイトのスカウトをこまめにチェック
スカウトサービスへの登録や転職エージェントに相談しておけば、自分に合った案件を知らせてもらえるので、積極的に探さなくてもマッチした求人と出会えます。
しかし、求人情報はいつまでも待ってくれません。良いと思える会社に出会ったら、即応募する機動力を忘れないようにしましょう。もしいつまで待ってもスカウトもオファーも来ない場合は、「職務経歴書」に問題がある可能性があります。その場合は、こちらを参照くださいね。
【閲覧注意】自衛官が転職・再就職で『書類選考すら』通過しない理由を暴露します……
【ポイント2】期間を決めて資格取得やスキルアップに集中
希少職種や資格取得が伴う専門職を狙うのであれば、合格に必要な知識や実績が必要です。
現職で成果を出すのはもちろんですが、社会人向けの専門学校やビジネススクールに通ったりすることも必要になるかもしれません。
ステップによっては順番が入れ替わることもあれば、想定どおりに進まないこともあります。悩んだり迷ったりしたら、転職の目的に立ち返って自分にとっての進め方を探っていってくださいね。
転職活動は在職中?退職後?どちらに進めるのがよい?
転職活動する際に、在職中に進めるのか退職してから始めるのか、どちらが良いのか迷う方は多いでしょう。それぞれにメリットがありますが、在職中に転職活動をする人が多い傾向にあります。
在職中に転職活動を行うメリットは、収入があり離職期間がなく、たとえ失敗しても現職に留まれることです。一方、退職してから転職活動をするメリットは、時間が確保できるため面接や企業からの連絡に対応しやすいことです。
活動自体を安易に長引かせないようにして、自分に合わない企業に転職しないようにすることが大切です。しかし、働きながら転職活動すると、今の仕事を抱えながら自分で全て準備するのは大変でしょう。特に自衛官の場合は、演習等でスケジュールが安定しないため、モチベーションを維持し続けること自体が困難です。
自衛官在職中に転職活動をする際の注意点
転職活動していることが周囲に知られてしまうと、現職の仕事がしにくくなる可能性があります。転職活動をしていても自衛隊に残る可能性を考慮して、同僚や上司には「絶対に」知られないようにしましょう。
ここでは、転職活動する際の注意点をご紹介します。在職中の方はぜひ参考にしてください。
注意点その1
転職面接のために有給取得や早退を繰り返す
急に有給を取得したり早退したりすることを繰り返すと、不審に思われ、転職活動していると疑われる可能性があります。面接の時間は、業務時間以外にしてもらうと良いでしょう。
また
注意点その2
SNSに転職活動の状況などを投稿する
ないと思いますが、転職活動に関するSNSへの投稿は厳禁です。転職活動していることを匂わせる投稿をしたりするのは避けましょう。
現役自衛官のあなたにピッタリのスケジュールは?
流れやスケジュールのアレンジ方法が分かったところで、「では自分はどうやって進めよう?」という方もいるかもしれません。そこで、あなたにピッタリの転職スケジュールが分かるチェックリストを用意しました。
それぞれの項目に当てはまる項目の数を数えてください。
設問の下にある集計結果のチェック数で一番数が多いものが診断結果です。
当てはまる項目をチェック!
□ 仕事の区切りがつくのが6か月以上先だ
□ 自分は基本的に何事も順序立てて進めたいタイプだ
□ 転職をすることだけは決めているが「いつまでに」は決まっていないし、焦っていない。
□ やりたい仕事があるわけではない
□ 転職活動で悩んでいる時間を少しでも短くしたい
□ 今の職場や仕事にまったく未練がない
□ 来年には仕事を変えようかなと思っている転職したいが何をすればいいか分からない
□ いまの仕事に物足りなさを感じているが、やりたい仕事も分からない
□ 自分は何をするにしても短期集中型だ
□ いつまでに転職しなければいけないか決まっている
□ 良い条件の会社があれば、いつ転職してもいい
□ 今の仕事に起因する心身の不調がある
【結果】赤のチェックが一番多かったあなたは・・・・・・
じっくり時間をかけて自分らしい転職先を探そう
転職意欲がまだふわっとしているあなたは、転職すべきなのかどうかから整理してみるのがよさそうです。しっかりと転職する目的が持てたら、じっくりと企業探しをしてみたり、スカウトやオファーを受け取ってみたりして自分の市場価値を認識してみるのもおすすめです。
【結果】緑のチェックが一番多かったあなたは・・・・・・
無理せず4ヶ月〜7ヶ月で逆算してスタート日を決めよう!
自分がどんな会社に転職したいのか見えてきたら、仕事の区切りや年度の区切りなど、きりのいいタイミングに狙いを定めて転職活動を始めましょう。
【結果】青のチェックが一番多かったあなたは・・・・・・
スピード転職を目指して今すぐ応募開始!
あなたは志向的にも状況的にも、早く転職活動を終わらせた方が幸せに近付きそうです。転職先に求める条件を整理しつつ、転職サイトやエージェントに今すぐ登録しましょう。
まとめ
転職活動の期間は、一般的に3〜6ヶ月と言われていますが、自衛官の場合は、4〜7ヶ月と長めです。さらに状況によって転職活動の期間はさまざまです。特に自衛官の場合は長期の訓練や演習等でスケジュールが安定しません。しかし、短期型でも長期型でも転職活動では、自己分析して計画的に進めることが重要といえます。
行き当たりばったりでは、転職は成功しづらいでしょう。転職を成功させるには、まずは自己分析を徹底的に行うことから始めるのがオススメです!
成功するための自己分析の方法を以下のnoteに記載しておきました!ぜひ参考にしてくださいね。