陸上自衛隊の幹部自衛官であった田中さん(仮名)は、国の安全を守るという重大な責務を担いながら、それが家族との貴重な時間を犠牲にしている現実に直面していました。
特に訓練や演習で長期間家を空けることが多く、月間の残業時間は100時間を超えることが常態化していました。さらに、陸幕勤務では業務量が膨大で、土日も出勤が必要な状況でした。
この記事では、田中さんが自衛隊から民間企業へ転職し、家族との時間を取り戻した実体験を紹介し、彼がどのようにして生活の質を向上させたのかを詳細に探ります。
妻「今日は帰ってくるの?」月100時間を超える長時間残業……
田中さんは陸上自衛隊に勤務する3佐でした。田中さんの残業時間は月100時間を超えることが普通でした。日付を超えてまで仕事をし、職場に泊まり込む日も少なくありませんでした。
訓練や演習があると、1ヶ月間家に帰ることができないことも珍しくありませんでした。
彼が言うには、「深夜に帰宅するのが当たり前。妻からは『今日は帰ってくるの?』と毎日のように聞かれました。家族と会える時間は極端に限られており、精神的にも肉体的にも非常に厳しい状況でした」とのことです。
『こんな状況、この先続けられない』
彼はそう思ったそうです。
「家庭を顧みない父親」になりたくなかった
陸幕勤務時は業務量が多く、土日も毎週のように出勤していました。自衛官なので、当然残業代はでませんし、特別な手当もありません。
田中さんは、自衛隊勤務中に多くの家庭行事を逃し続け、「子どもの大切な行事に参加できなかったのは、自分が家庭を顧みない父親であるかのようで、非常に心苦しかったです」と振り返ります。
家族との絆が希薄になるのを感じる一方で、それを変えることができない無力感にも苛まれました。
家族との時間を何としても増やしたいという強い願望が、田中さんを転職に駆り立てました。「もっと子どもたちの成長に立ち会いたい」という思いが強くなり、「家族との絆を深めるため、また精神的な健康を取り戻すために、転職しかないと感じました」と述べています。
民間での新たなスタート
民間企業への転職は意外にもスムーズでした。
なぜなら知り合いの元自衛官の職場がたまたま中途採用を募集しており、そこに応募したら、なんとスルスルと内定をもらえてしまったのです。しかも、年収は維持したまま。
転職を実現してから、田中さんの生活は劇的に変わりました。
「今では毎日7時台に帰宅して、家族と夕食をともにできます。」
「週末は全て家族と過ごし、以前は考えられなかった家族との時間を楽しんでいます」
と新しい生活の喜びを語ります。
「妻が喜んでくれているのが何より嬉しい」
転職によって家庭内の雰囲気が一新されました。
「帰宅時間が早まったことで、子どもたちの学校行事に積極的に参加できるようになり、妻とも趣味の時間を共有できるようになりました。
これが夫婦関係の質を高め、家庭全体の雰囲気が明るくなりました」と、田中さんは家庭生活の向上を実感しています。特に、「妻が喜んでくれているのが何より嬉しい」とおっしゃっていました。
田中さんは自衛隊を離れてから、個人的な趣味にも時間を割くことができるようになり、「仕事以外の生活にも充実感を感じるようになりました。これが、精神的な健康を保ち、より豊かな生活を送ることに直結しています」と感じています。
おわりに
自衛隊から民間企業への転職は、単に職場を変えること以上の意味を持ちます。
それは、家族との絆を深め、生活の質を向上させるための手段です。田中さんの例を通じて、同じように自衛隊の厳しい環境で働く多くの方々にとって、家族とともにより良い未来を築くための一助となることを願っています。
家族との時間は、人生で最も価値のあるものの一つであり、そのための選択を勇気を持って行うことが、より充実した人生への鍵となるでしょう。
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